新年度のインドの予算案における教育関連予算は、9,322億ルピー(約1兆3,520億円)で、新型コロナウィルス対策に多くの予算が割り当てられたあおりを食らって、前年度予算(9,930億ルピー)より減少しています。内訳としては、初等・中等・識字教育に5,487億ルピー、大学等の高等教育に3,835億ルピーが充てられています。
インドの教育政策は、国家教育政策(NEP: National Education Policy)に基づいて実施されますが、NEPは2020年7月に3次改正が行われました。改正の主旨は、早期教育と教育の公平性及び入学・修了制度の柔軟化による高度な学びの機会を広げることです。新しい教育体系は次のとおりであり、義務教育期間が従来の14歳まで(上級初等学校まで)が、後期中等学校修了の18歳までになりました。
新年度の予算案では、15,000の学校に新しいNEPに基づく教育システムを導入し質的に強化すること、100校のサイニック学校(Sainik School注参照)を設立すること及び大学等の高等教育を包括的に統括する高等教育委員会(Higher Education Commission)を設置することが主な項目となっています。
日本の産業技術及び職業知識の移転を促進するための、インドと日本の共同研修プログラム等も予算案に組み込まれており、コロナ禍においてもインドの教育に関する熱意が伺われます。
注:サイニック学校(Sainik School)
インドの国防省が管理する教育施設で、国防アカデミー(National Defence Academy)
に入学するためのプレスクールとして設立されました。インド軍の将校の地域間・階層 間の不均衡を是正するとともに収入や学歴に関係なく質の高い教育が受けられる公立学
校で、2020年3月現在33校が設置されている。
(nationaldefencecareer.com)