アメリカ合衆国の大統領交代の経緯等が全世界的な話題となっていますが、インドも上下2議院の議員内閣制と大統領制をとっています。選挙民の直接選挙によって選ばれるアメリカの大統領と異なり、インドの大統領は上院・下院の議員及び州議会議員による選挙によって選ばれます。
インド大統領の任期は5年で、国家元首(Head of state)や軍の最高司令官としての権威や威信はありますが、実質的な行政権や政治の実権はなく、法案を承認することや首相や最高裁判所判事の任命等を行います。行政権のある内閣の首相は、下院の第1党の党首が大統領により任命され、他の大臣は首相の助言に基づき大統領が任命します。
インドには28の州(State)と8つの連邦直轄領(Union Territory)があり、州には自治権が認められていますが、連邦直轄領は中央政府の直接支配下にあり、大統領が任命する行政官を通じて統治されます。
2017年7月25日に選出された現在の大統領ラーム・ナート・コヴィンド(Ram Nath Kovind)75歳は、ダリット(最下層カースト)出身者ですが、弁護士や上院議員・ビハール州知事を経て選出されました。ダリット出身の大統領はナラヤナン大統領(1997年6月~2002年6月在任)についで2人目です。
2019年11月に実施された即位礼正殿の儀にもご夫妻で出席されています。
(即位の礼で来日時のご夫妻 asahi.com)
{連邦直轄領:デリー首都圏、ジャンムー・カシミール連邦直轄領等8か所
固有文化の保護や施政の問題に由来する政治的混乱を防ぐ等により存立}