インド政府は、2月1日新年度の暫定予算案(2019年度はインドの総選挙のため暫定予算を組み、選挙後新政府により正式な予算が公表される。)を発表しました。
本予算の説明に当たり、財務大臣は、「単なる暫定予算ではなく、国家の発展的転換のための予算であり、インドは確実に成長と繁栄に向けて進む」と述べています。
歳出予算額は、前年比13.3%増の27兆8,420億ルピー(約41兆7,630億円)で、総選挙前のため、大票田である農家、低所得層及び中小規模事業者に手厚い内容になっています。
本予算の重点政策ビジョンとして
1 農家に対する支援
総人口の6割を占める農民について、保有農地が2ヘクタール(20,000㎡)以下の約1億2,000万の農家に対し1世帯当たり年間6,000ルピー(約9,600円)を支給する。また、新しい技術等により農民所得を倍増させる。
2 個人所得税の免除対象の拡大
現状、年間所得が25万ルピー(約41万円)以下の個人所得税が免除されているが、50万ルピー(約82万円)以下に引上げる。
3 インフラの整備
発電や鉄道の整備、デジタルインフラの整備等を重視する。
4 「メイク イン インディア」の推進
2016年から企業のスタートアップ支援として雇用機会の創出を図ってきたが、本予算においては「メイク イン インディア」を推進し、インドでの物づくりによる失業率の改善を目指す。
5 宇宙政策の推進
インド独立75周年となる2022年までにインド人宇宙飛行士を宇宙空間へ送り出す。
6 「デジタル イン インディア」の推進
人工知能(AI)に関する国立センターを設置する等、「デジタル イン インディア」を推進し、あらゆる分野にデジタル技術を広める。
本予算は、選挙権者を強く意識した大盤振る舞いとなっており、法人所得税の変更や外国直接投資の規制緩和等、日系企業のインドビジネスに直接影響を与える政策は少ないものとなっています。それだけに、選挙後に正式公表される予算は、今後5年間のインド政府の方針を占ううえで重要な指針となります。