インドは、深刻化する大気汚染や二酸化炭素の排出抑制のため、自動車の環境対策として電気自動車(EV)の普及を推進しています。2018年3月、インド政府は、2030年の乗用車の新車販売におけるEVの比率を30%にすると表明しました。国内の電力インフラが満足に整備できていない状況での、野心的な取組といえます。
インドのEV普及のため,2019年度予算においてEVに適用されるGST(物品サービス税)の税率を12%から5%に、EV用の充電器や充電ステーションのGSTを18%から5%に引き下げるとともにEV取得のための補助金が支給されます。
2018年2月現在、インドには57,000ヵ所のガソリンスタンドがありますが、EVの充電スタンドは370ヵ所しかない状況です。また、インドはEVの主力製品であるリチウムイオン電池は、ほぼ100%輸入に頼っています。
このような状況においても自動車のEV化は急務であり、インド電力省がEV充電ステーション事業を行うためのライセンスは必要ないと発表したため、充電ステーションの設置が進んでいます。2019年9月1日、NTPC(インド最大の電力会社、National Thermal Power Corporation)とインド石油公社は、ウッタラプラデシュ州のグレーターノイダで充電ステーション事業を開始しました。2019年3月、パナソニックはインド独自の規格の充電ステーションの試験運用を始めており、タタグループも2019年8月300ヵ所の充電ステーションを設置すると発表しています。
乗用車のEV化に先んじて、1億6,000万台使用されている二輪車や2,000万台のオートリキシャ(3輪タクシー)の電動化が進んでおり、インドの自動車のEV化は大きなビジネスチャンスになります。
写真参考:SankeiBiz