インドのニルマラ・シタラマン財務大臣は、2020年2月1日、新年度の予算案を発表しました。低迷している近年の国内経済成長を復活させるため、所得税の税率を中間層を中心に5~10%下げて消費を喚起するとのべています。また、道路や発電所等のインフラ整備を推進することによる大規模な景気刺激策を打ち出しています。
歳出総額が前年度比13%増の30兆4千億ルピー(約46兆円)で、分野別で農業が28%増の1兆5千億ルピー、交通が7%増の1兆6千億ルピー、地方開発が1%増の1兆4千5百億ルピー、IT(情報技術)が約4倍の伸びの5千億ルピーとなっています。防衛関係予算は、国境地域の緊張を考慮し、5.8%増の3兆4千億ルピーです。
農業関連予算では、2022年までに農民の収入を2倍にすることを目指し、灌漑設備・輸送経路の充実等により農村部における民生向上を図ります。
インフラ整備に関しては、安全な飲料水、クリーンエネルギー、医療、教育施設への投資に重点志向し社会全体としてより良い生活水準を目指しています。また、鉄道、地下鉄、高速道路、空港等幅広い分野への投資を拡大し、生産性と効率向上を図っています。
IT及び通信間連の予算は、「データ センター パーク」の構築等に重点配分されます。デジタルデータを新しい燃料(オイル)と表現し、AI、IoT、フィンテック等様々なデータを共有することにより意思決定を迅速化し、工場生産を増加させ、経済発展につなげる目論見です。
世界的な気候変動、インド都市部の慢性的大気汚染に対処するための予算を配分し、持続可能で環境にやさしい都市コミュニティを開発することを目指しています。
新年度予算が経済成長を加速させ、インド国民に財政的な力を与えることにより、経済基盤を強化し、慢性的な財政赤字に対し功を奏することが期待されます。