アメリカのトランプ大統領は、2020年2月24日から25日の間、夫人とともにインドを初めて公式訪問しました。
米国大統領のインド訪問は2015年のオバマ大統領以来5年ぶりとなります。
トランプ大統領夫妻は、初日にモディ首相の地元の西部グジャラート州の世界最大のクリケット場で演説の後、世界遺産のタージマハルを訪問しました。翌日ニューデリーの大統領官邸を訪問し、ガンジーの慰霊碑に献花した後、迎賓館でモディ首相と会談しました。
トランプ大統領は、日本とともに「自由で開かれたインド太平洋」構想を掲げ、中国に対抗する上でインドを必要不可欠なパートナーとみています。インドも中国が南アジアで影響力を拡大させることを警戒しており、民主主義国家の双璧として相応の対応が必要と考えています。
インドとの間に多額の貿易赤字を抱えるトランプ大統領としては、選挙を控える中、防衛装備品やエネルギー分野の輸出を拡大することで、実績をアピールしたい狙いがあります。
トランプ大統領は、インドに対し対潜哨戒ヘリコプター等を30億ドル規模で売却することに合意しました。
モディ首相としては、アメリカとの緊密性を示すことによって、大国と肩を並べる指導者として自らの政権基盤を盤石なものにする意図がありました。モディ首相は、アメリカから液化天然ガス(LNG)等の輸入量を増やしエネルギーの供給の安定化の道を探りました。
訪問中のニューデリーで、市民権改正法に抗議するイスラム教徒とヒンズー教徒による暴動があり、多数の死傷者が出たにもかかわらず、トランプ大統領はモディ首相を非難しませんでした。
したたかなインドが、アメリカとの市場開放を含む大規模な通商協定を締結するにはまだ少し期間を要すると思われますが、新型コロナウイルスの蔓延の恐れがある現在、世界経済の発展にとってインドの立ち位置は益々重要になって行くでしょう。
(写真はNTTV写真集から引用)