パンデミックに対するインドの脆弱性

インドの感染者数が50万人以上に膨れ上がるのは時間の問題。公表されている死者数は1万5千人を超え15,183人。BBCによると、実際の感染者数と死者数は公表されている数よりはるかに高いらしい。その理由は、農村部では症状が出ても治療できずに死亡してしまうケースが多くあり、都市部の病院でも死因がコロナの疑いがあっても糖尿病とか肺炎などと診断書に書かれていること等が挙げられています。デリーの葬儀店では、通常1日当たり平均5体の遺体が運び込まれていたが、現在はその5倍の平均25体/日が運び込まれているとのこと。

参考図:WorldOmeterより引用


 このパンデミックで、インドの弱点が如実に表面化したと言えるでしょう。その弱点とは、医療制度の未整備もさることながら、とてつもない数の貧困者の存在です。世界的に最高水準を誇るIT企業や目覚ましい発展の自動車産業が良く取り上げられて報道されますが、その反面、インドの貧困問題はインドのマイナーな面となるためなかなか報道されません。この貧困層こそがコロナウィルスのようなパンデミックに最も脆弱なのです。何故なら病院にかかりたくても近傍に病院がない、有っても医者と看護士が足りない、医者と看護士がいても医療機器が無い、一応治療の施設が整っていても医療費が支払えない、といった現実があるためです。これに加えて、衛生に関する意識が低く感染防止対策に無頓着というのが現実です。アルコール消毒液や次亜塩素酸水といったものも普及しません。普及させようにもそれを買うお金がありませんし、そもそも富裕層が買い占めてしまうため、貧困層には行きわたりません。

 インド政府も貧困問題の解決には取り組んでいるものの、インド人の富裕層にその意識が少ないがために遅々として進みません。インドの上流層の人たちには「農村部の貧困者や都市部のスラムに住む貧困者は自分たちとは別の人種」という意識があるように思われます。かつて富裕層のインド人がこう述べていました「彼ら(貧困者)の胃袋のシステムは我々とは違う。だから露店のものを食べても平気なのだ。我々が彼らと同じものを食べたら、たちどころに病気になってしまう」。人間の胃袋の構造が違うはずはありませんが、要するに同じインド人とは思っていないのです。従って、この貧困層の人たちを、本当に貧困から解放しようという意識が乏しい。この意識を改めない限り、インドの貧困問題は解決しないし、パンデミックに対する脆弱性を改めることはできないでしょう。

 この問題解決のためにはやはり教育から始めなければならないでしょう。モディ政権もそのことは良く理解しており、教育改革を進めています。その目的は、あらゆる階層のバランスの取れた教育とモディ首相自身が述べています(「the purpose of education is to develop balanced growth of every aspect of a human being」)。つまり、全国民の教育レベルを引き上げる必要性があると認識しているわけです。この改革のため、インド政府は2020年までに1兆ルピー(約1.6兆円)の予算を投入することを公約として掲げています。

 裕福であろうが貧しかろうが同じ国民に変わりはありません。この改革を機にインドの富裕層が貧困対策を同じ仲間の問題として捉え、その解決に真摯に取り組んでくれるよう願うところです。

 蛇足ながら、当社は貧困農民の所得向上を目的とした事業にインドの2つの州(ヒマチャルプラデシュ州とメガラヤ州)で取り組んでおります。コロナウィルスのためにいずれの事業も停止状態ですが、1日も早くコロナウィルス騒動が収まって事業が再開され、農民の所得向上が早く実現される日が来るのを願ってやみません。

                                         6.22(平野)

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